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チャーリー・ウィルソンズ・ウォーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.2
アメリカとソ連の冷戦状態が続き、ソ連は隣国であるアフガニスタンへ侵攻した翌年である1980年。チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、酒と女とドラッグに溺れるテキサス州選出の下院議員に過ぎなかった。その日も、「チャーリーズ・エンジェル」と呼ばれるストリッパーたちと、ジョグジーでのお楽しみを満喫していた。
そんな彼ですら、アフガニスタン難民たちの悲惨な姿をニュース映像を目にして義憤にかられ、立ちあがることを決意する。
アフガニスタン支援に充てている国防委員会の義援金がわずか500万ドルと知ったチャーリーは、それを倍額にするよう指示する。
そんなチャーリーに、反共産主義でテキサスの富豪であるジョアン(ジュリア・ロバーツ)が目をつける。
彼女は、アフガニスタン救済するためソ連を撤退させるようチャーリーをそそのかす。ジョアンの指示で、パキスタンの大統領と面会したチャーリーは、ソ連と対抗するためにはアメリカ政府からの支援が不可欠なことをあらためて認識した。
CIAのはみだし局員であるガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)と接触したチャーリーは、アフガニスタンへの武器弾薬を調達、ソ連を撃退するための計画を実行していった。
パキスタン、イスラエル、エジプトといった近隣諸国も巻き込んでのチャーリーの破天荒な闘いは成功して、ソ連はアフガニスタンから撤退する。
やがて、国際社会からも孤立したソ連は共和国としての崩壊へと至り、構成国は独立した。チャーリーは、その戦闘に勝利した。
しかし、ソ連の撤退によってアメリカからの支援が止まったアフガニスタンでタリバンの勢力が拡大して、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロの首謀者を駆逐するため今度はアメリカがアフガニスタンを侵略することになるとは、その時の彼は夢にも思っていなかった。
CBSテレビのプロデューサー・ジョージ・クライルが、チャーリー・ウィルソンがソ連軍と戦うアフガニスタンのイスラム教ゲリラ・ムジャヒディーンを支援する極秘作戦を実行していたことを、暴露したルポルタージュ本を元にした映画。
チャーリー・ウィルソンは、女好き酒好きなハレンチ議員。ウィルソンに選挙資金を援助したスポンサーであり、チャーリーが惚れていた女の一人で政財界に大きな影響力を持つ億万長者の夫人ジョアン・ヘリングは、保守的なキリスト教原理主義者で共産主義者を憎んでいたこともあり、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻していたことに危機感を持ちレーガン大統領にアフガニスタンのイスラム教ゲリラへの支援を求めたが、レーガン大統領は及び腰だった。
そこでジョアンは、ウィルソンにアフガニスタンのイスラム教ゲリラへの支援をしてソ連を倒すよう唆した。
ウィルソンは、ジョアンに良いところを見せたいのと、ソ連軍が侵攻していたパキスタンやアフガニスタンで女性や子供が辛酸を舐めていた現状に義憤を感じ、国防予算歳出小委員会を抱き込んでアフガニスタン支援のための極秘予算を通した。
ウィルソンは、アフガニスタンのCIA担当官ガストと組んで、パキスタン経由でイスラエルが捕獲したソ連製ライフルの中国製コピー品をアフガニスタンに密輸したのを手始めに、弾薬をエジプトから買うためにベリーダンサーを使ったエジプト国防相への接待、ソ連軍の武装ヘリ・ハインドに対抗出来るスティンガーミサイルの提供と、アフガニスタンゲリラがソ連軍を撤退させるまでの極秘作戦を実行した。
ウィルソンが実行した極秘作戦の予算を通すために、キリスト教原理主義者のコネクションをジョアンを通して利用したり、ソ連軍が撤退するとウィルソンを除く他の国防予算歳出小委員会のメンバーはアフガニスタンに学校やインフラの整備に予算を使うことを渋ったこと、ソ連軍撤退直後からイスラム教過激派がアフガニスタンに流れていてタリバンの中核になったことなど、アメリカとアフガニスタンの関係を知るには必須なポリティカルサスペンス映画。
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