第25作。
リリー再々登場の超絶名作回。
やはりリリーは圧倒的に魅力的なマドンナだ。本作を観る度にその思いを強くする。
沖縄の燦燦と照り付ける太陽の下、また、夜が更けその暑さが和らいだ折。
そのような中での寅さんとリリーの甘美な同棲生活が、まるで時が止まったかのようなトーンで描かれる。
そしてこの「夏」という設定が、「夏にはいつか終わりが来る」という2人の関係性の終焉の暗示をはらみ、物語は静かに進展する。
そしてやはり来る、破局。
だが、ここからが堪らない。
その後の柴又で再開した際の、寅さんの告白と、リリーの回答。
女心の移ろいやすさ、刹那性、あの瞬間は二度と戻ってこないという感傷を、ここまで我々に突き付けてくるとは・・・。泣けに泣けます。
そこから更にリリーとの再会を果たすシーンは、「さすがにタイトに詰め込みすぎじゃない?」とも感じるものの、このラストシーンによって、寅さんとリリーのこの絶妙な関係は、永遠のものとして映画の中で生き続けることとなる。
いやぁ、やはりたまらん。。
明らかに他作品とは違う空気感を帯びた、素晴らしい回。