ヒラリー

霊長類のヒラリーのレビュー・感想・評価

霊長類(1974年製作の映画)
4.4
上映2回平日しかやってなかったら半休取って行ったんですよ。
霊長類というタイトルからほのぼのドキュメンタリーなのかと思ってたら今まで見たワイズマン作品の中である意味一番ハード。。
最初はゴリラが出てきて交尾の話から始まる。体位とか誰得情報。
そこからオラウータン、チンパンジーが出てくるんですが霊長類というよりこの施設で行われる実験映像を見せられる。
アクリル板に押し込められ、頭部の毛を刈られ切開し電気器具を取付、刺激を与える。
そして交尾をさせ、脳波や射精を見て、刺激を変えての繰り返し。
有益には見えない、この実験も人間の為?
柵越しに研究者が赤い液体を飲ませテンガのようなプラスチックの筒で射精を促す様はなんとも言えない気持ちになった。
人工授精シーンもこれが当たり前なのかもしれないが強姦のように見えた。
合間合間に研究者との和やかなシーンが入るが後半につれ内容が過激になっていく。
檻から無理矢理出したリスザルの頭を切開したがその時は閉じた。
だが後に鋏でぞんざいに下腹部から胸へ開く。
内臓の脈動、動かないリスザルを見るとやりきれない気持ちになる。
脳を取り出すと言う研究者にここまでしたなら安らかに敬意を持って扱ってくれと思ったが次の瞬間首をはねられた。
あまりに事務的に、唐突な事で混乱した。
その頭部から脳は切り離さず瓶に詰める。
皮は剥いでるが眼球が残ってるからかなりきつい。鬼畜の所業。マッドサイエンティストだった。
淡々と作業する研究者の映像を見て、食物連鎖の頂点は人間様でそれより下の動物は全て何とでもなると言われてるような気がした。
これが人の為なのか。
愚かな行いのように感じたが私が間違っているのかもしれない。
最後飛行機にチンパンジーを乗せ無重力状態の実験をするがその時の顔がなんとも言えない。
ワイズマンにしてはかなり短い尺にも関わらず色んな事があり過ぎた。
容態が急変したオラウータンに対して研究者の放った言葉があまりに軽い。
人間に振り回されて命を落とす生き物に対しての敬意よ…。
じゃあ自分が食べてる肉はどうなんだって話になる。
食べるために育てて殺して食べてる。
自分で手を下さないだけであのリスザルとなんら変わらないのではないか。
人と動物のあり方を考えてる。
ヒラリー

ヒラリー