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GLASTONBURY グラストンベリーのgeminidoorsのレビュー・感想・評価

GLASTONBURY グラストンベリー(2006年製作の映画)
4.6
グラストンベリーの野外ライヴは行けなかった事を悔やみまくりの極みライヴの一つ。本作では知らないバンドや会場風景をなんとなく流し観てても雰囲気が好ましい。
バンドの好き嫌いだけでの見方ではきっと面白くないかも。しかし観る側がバンド経験者もしくはライヴステージに上がった経験有りならば、この作品全体の静かな圧力というかナマな感じは色々気付きも多く堪らないだろう。
何曲かシングルヒットを出した若手でも、緊張や空気に負けて低レベルの演奏で自ら苛ついてるのが判ったりするし。
これまで知らなかったバンドでも彼らは数々のライヴをこなして鍛えられてきたのだろうな〜と観聴きするコチラの"好き嫌い"を越えて魅入ってしまう場面も多々あった。


しかしワタシが今回記したいのはボウイだ。特に2000時のトリを務めたボウイのパフォーマンスだ。これはRockのライヴパフォーマンス歴史100…いやいや30位に残る出来栄えだと思う。
ま、30ってとこが微妙だけど、Liveって色んな出来栄え、エポックな意で凄いの沢山あるしね。仕方ない厳しさからの数字ネ。



でもさでもね…
グラストンベリー2000のボウイには、「きっと音楽の神が降りて来ていたんじゃないかしら」って、やはりワタシよりRockからJazzから広く聴く我が家の神さん(カミさんのことネ)も名セリフを吐いたもんだ!

この中での一曲、ワタシのファッキンlovelyな一曲は、ベルリンの壁をテーマに作った"ヒーローズ"‼︎
(原曲は全音×全音のフリッパートロニクス全開のギターフレーズで曲の風景を司ったのはクリムゾンの核フィリップ卿!)
2000でのボウイ率いるバンド=男女&人種入り乱れての選出ミュージシャンの演奏は、彼の後期でも群を抜く熱さ(勿論彼がまとめるのだから冷静さの裏付けあっての)を保ったパフォーマンスであること間違いナシなのだ。


ワタシはボウイが亡くなる数年前、待ちに待っての画像と音盤を新譜で手に入れたものの、未だにカーステで通勤時に聴けば(何年が過ぎようとも)そりゃ惜しくて、悔しくて、悲しくて…
そして何よりも歌が、楽曲が、バンドのグルーヴが、それぞれのパートのテクから音色からバランスから、全部がピークだから!
ハウリングまでいい感じに入っててさ(笑)

"ヒーローズ"の演奏中、アレンジで一旦4拍くらいブレイクして、後すかさずドラムが畳みかけるオカズで再度フィルインする様なタイミングで、そりゃあどデカい花火が爆発して鳴り響き、会場のオーディエンスが地鳴りの様に"ぅゔぁあああ〜!"って…

た、た、たまらんっ〜!!

ワタシは涙が出るのです。何度聴いても。


随分時が過ぎたが、ボウイが死んでワタシは又一段階上がったのか下がったのか、自らの果ての方に近づいてしまったような感慨に陥り、それは清志郎の際も一段階、その階段は着実に一歩一段づつ…
年齢とか常識や理論的な数字ではなく、何か暗い方へ暗い方へと向かっております。
ご心配なく、その暗さは世間や日常使う様なマイナスなイメージの"暗さ"ではありませぬ。
謂わば、ディラン・トーマスの書いた"聖なる暗黒"に近いかも知れません。
もしくは、第一期キング・クリムゾンの終焉 "Starless"の奏でる漆黒の闇に近いかも知れません。

追伸:
映画を観る時間が作れない日々が続き、しかし訳あって明朝はゆっくりで◯と思いきや、たまたま本作からボウイ思い出したら書きたくなりました。
降りて来たのはボウイかも知れません。

今夜はナイーブな側のワタシが呟きました。

サヨナラ。

サヨナラ。

サヨナラ。
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