PerMetalPower

プライド 運命の瞬間のPerMetalPowerのレビュー・感想・評価

プライド 運命の瞬間(1998年製作の映画)
2.5
突如現れて割腹し白いブラウスを紅く染める女が出てくるところではっきり伊藤俊也作品だとわかる。おまけに津川東条に隈取メイクをつけた幻想シーンまであって笑った。あからさまに保守的主張を主眼とした映画を請け負いながらも密かに「さそり」を撮り続けようとしているぞ、この監督。彼の表象的ライフワークの1つに“高低差”があるのだが、ここにおいても法廷や絞首刑が本質的に高低差を利用したものであることが意識されている。興味深いのは法廷における戦犯たちの傍聴席も「高」の位置にあることだ。先述の幻想シーンも津川の視点から「低」い床で起こっているように撮られている。ラストでは「高」たる吹き抜けから捉えられた「低」の中庭の果実が手に取られ、大鶴義丹が「低」たる地をトラックで進む様子を捉えた空撮の「高」視点で締められる。全体としちゃ、“言いたいこと(とそれに相対する言説の強調)”が先行していることからくる映画自体の局限はいかんともしがたいが。
PerMetalPower

PerMetalPower