爆裂BOX

ダークマンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ダークマン(1990年製作の映画)
4.3
大のアメコミファンだったサム・ライミ監督が、「シャドー」の映画化などアメコミヒーローの実写化の企画に挑戦するもまだメジャー映画の経験が少ないため頓挫してばかりだったことに業を煮やして「それなら自分でアメコミみたいな映画作ってやる!」と手掛けたダークヒーローアクションです。
完璧な人工皮膚の研究に没頭する天才科学者ペイトンは、恋人の弁護士ジュリーが掴んだ汚職の証拠を狙う残虐なギャングデュラント一味の襲撃を受け、残虐な拷問で両手と顔を完全に破壊され、全身に大火傷を負う。治療によって視床下部の神経を切断され痛みを感じなくなった代わりに怒りなどの感情を制御できなくなり、それに伴って過剰分泌されるアドレナリンで超人的な力を発揮できるようになる。彼は人工皮膚を使った変装術と超人的なパワーを使う復讐鬼ダークマンとなってデュラント一味に復讐を始めるというストーリーとなっています。
デュラント一味の残虐ぶり&凶暴さを披露する冒頭からデュラント一味に襲撃を受けたペイトンがダークマンとなって復讐していくまで、全編にわたってテンポよく進んでダレる事無く最後まで見れました。
チープさ感じるCGやストップモーション、合成丸出しの背景もそのチープさがアメコミをそのまま実写にしたように感じられて本作の題材に合っていたと思います。ガーゴイル像みたいな彫像に挟まれる形で屋上で座り込むダークマンのシーンも凄くコミック的。デュラント一味がペイTん襲撃するときに顔が順番にライトで照らされる所もコミック的(笑)
ダークマンとなったペイトンの筋肉がむき出しになった火傷顔や焼け落ちた研究所跡に居を構えて人工皮膚の研究に没頭する姿や悲哀に満ちた姿には「オペラ座の怪人」の影響感じさせますし、包帯解いていく姿は「透明人間」かな?そんな風にクラシックホラーへのオマージュ感じさせるシーンもあります。
アパートから落とされた男の死体を見て悲鳴上げた女性が振り返ると同じ顔した男がいてまた悲鳴上げるシーンや、デュラントと彼に変装したダークマンが回転ドアをクルクル回るシーン等ライミらしいユーモア感じさせるシーンも好きですね。サーカスデート中にピンクの像巡ってブチギレる所も最高ですね(笑)ペイトンとジュリーと指折られた親父の顔順繰りに撮っていくカメラワークも(笑)後、トラックの上をトテトテ走っていくシーンも(笑)
ダークマンが変変装術や超人的な怪力使って一人づつデュラント一味に復讐していく姿は、痛快で楽しかったですね。
中盤過ぎのヘリにぶら下がっての追走劇は、オフィス街を飛んでビルに突っ込んだり、警察のヘリとチェイスしたり、道路上にグレネードランチャー撃ちまくってドカンドカン爆発して車が吹っ飛んだりとアクションシーンも見応え十分でした。
ダークマン/ペイトンを演じるのは「96時間」以降戦うオヤジ俳優となったリーアム・ニーソン。まだ演技派俳優と認知されてた頃ですが、ほぼ特殊メイク施して素顔で出るシーン少ないながら、人生奪われたペイトンの孤独と悲しみ、怒りを上手く表現した演技は流石。恋人役がフランシス・マクド―マンドというのも今となってはかなり豪華。正直ヒロインの印象は薄いけど(笑)
病院のシーンで説明する医者役でジェニー・アガタ―と、ジョン・ランディスもカメオ出演してます。
デュラント一味は皆憎らしくていい感じにヴィランとしてキャラ立ってたと思います。一番下っ端でテッド・ライミも出てましたね。特にラリー・ドレイク演じるデュラントは冷酷さや凄み感じさせる演技と言い、ボスとしてふさわしい迫力だったと思います。
真の黒幕であるルイスも、目的の為には手段選ばず、悪事がジュリーにバレても動じる事ない姿や、若い頃に父親に高層ビル建築現場で働かされた経験から高所になれていて、平気で鉄骨の上をピョンピョン跳んでダークマンの攻撃よけながら攻撃したり、ネイルガンバスバス撃ちまくったりとこっちもいい感じにコミック的なヴィランしてたと思います。
クライマックスの高層ビル建築現場での鉄骨上での戦いもハラハラさせてくれて楽しかったですね。
「良心を鍛えてるんだ」「だれでもあってだれでもない。どこにでもいてどこにもいない、ダークマンと呼んでくれ」等台詞もカッコよくて印象に残るものがあります。
落下途中のヒロインをロープにぶら下がって滑空しながら受け止めたり、自らの運命を受け入れて愛する人に別れを告げるラストなど後の「スパイダーマン」に繋がる要素も多いですね。
切なさと悲壮感漂う漂うラストも印象に残ります。カメオで最後に出るブルース・キャンベル含めて(笑)
サム・ライミのヒーロー物の原点と言える作品ですね。個人的には「スパイダーマン」よりこっち好きかな。