みかんぼうや

ロゼッタのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ロゼッタ(1999年製作の映画)
3.4
ダルデンヌ兄弟作品6作品目にして、カンヌでパルムドールを獲った本作をチョイス。この頃のパルムドール作品とは相性が良いものが多く楽しみにしていたが、結論としては、「さすがに飽きた」というのが正直な感想。観る順番が良くなかったのかもしれないが、ダルデンヌ兄弟の作風にやや食傷気味になっているようだ。

これまで観てきた同兄弟の作品は全て少年が主人公の中、本作はトレーラーで暮らす母親がアル中の貧困家庭の少女、ロゼッタが主役。貧困生活の中、ただ“普通の暮らし”がしたいロゼッタの日々の生活を描く。

女性が主人公ということで、またこれまで観てきた作品との違いを楽しめるかと期待していたが、ふたを開けてみると、これまで観てきた同兄弟の完成されたフォーマットに忠実な作りで、よく言えば“安定”、悪く言うと“既視感とマンネリ”が強い。もちろん設定や物語は作品ごとに異なるのだが、以前は新鮮に感じた同兄弟のドキュメンタリータッチのカメラワークと演出も、見慣れてしまったことで飽きになり、興味深い設定と内容だし面白い作品だとは思うものの、個人的にあまり刺さる部分はなかった。

観終わった後も、ただただ「可哀そうで同情してしまう」という感想で、それ以上のものが得られず、その背景にある貧富の格差や社会制度の問題などにまで視点がいかなかった。繰り返しになるが、同兄弟の作品として、本作を最初の頃に観ていたら、また全然異なる評価だったのかもしれない。ダルデンヌ兄弟の作品はお腹いっぱいなので、しばし時間を空けようかな。
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