似太郎

野菊の墓の似太郎のレビュー・感想・評価

野菊の墓(1981年製作の映画)
4.0
何やら玄人好みの画面構成、演出法で批評家から評価の高い澤井信一郎監督。とうとう亡くなりましたネ。😔

たしかに木下恵介の旧バージョンと比較したら可哀想だが、これはこれでアリだと思う。あくまでアイドル映画という枠組みの中で観れば、それなりの「クラフトマンシップ」を感じる手堅い出来栄えではある。

純真乙女の聖子ちゃんの演技と歌が「売り」の映画であって、内容の二の次なのだから全体的にクサイのは仕方ない。特に政夫を演じた新人俳優、桑原正のトンデモない棒読み台詞は正しく大根と呼ぶに相応しい。主演二人がとんでもないミスキャスト。

しかしこのような薄ら寒い芝居でもギリギリ観ていられるのは、やはり長いキャリアを誇る職人監督、澤井信一郎の一種の「手堅さ」が画面に風格を与えているからだろう。映画史に残る作品とはお世辞にも言えないが、気軽に楽しめる文藝ドラマの佳作と言える。澤井監督のご冥福を祈ります。🙏
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