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野菊の墓の盥のレビュー・感想・評価

野菊の墓(1981年製作の映画)
4.1
主人公があまりにも可哀想すぎて「悲しいにもほどがあるだろ」とは思ったけど、良い映画でした。

短い尺は好印象だけど、あまりにもあれこれ物語を省略しすぎている気もして少し物足りなかったです。

主人公二人のセリフが棒読みなのは、まあ、演技経験がほぼ無いからしょうがない。

映像だけでドラマがすべて伝わってくるのが凄い。デヴィッド・リーン作品みたいな名作の風格がありました。風景映画という点も似てるし。

繰り返し色んな空が出てきて、陽の光や雲の形だけで豊かに伝わってくるものがある。空とか雲に徹底的にこだわっているのが、古き良き日本映画という感じがして好きでした。

あと、家の中の闇が濃くて、昼でもだいぶ暗い。あれはリアルな日本家屋の暗さを表現したんだろうけど怖かった。当時の家族制度の怖さを表してる感じがして。特に継母なんて存在が怖すぎて、もはやホラーの領域(笑

タイトルからして主人公は死ぬんだろうなと予想していた何倍もあっけなく突然死んだので、心にポッカリ穴が空いたような後味でした。アイドル映画にしては暗いですね。でも、そこが良いですね
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