なつかし二番館

不器用なふたりの恋/フェア・ラブのなつかし二番館のレビュー・感想・評価

3.2
若いころのイ・ハナの出演作が今は見えないので,なぜか評価低いけどと思いつつ,可能な限りの古いのを見てみた。
言葉の解説から,
「フェア・ラブ」原題は何なんと思ったら,ペオ・ロブで,fair love のハングル表記ですやん。普通に,堂々とした恋愛,もっと言えば普通の恋愛。劇中の台詞。国が違う,人種が違う,年齢が違う,それは不道徳だと思うか?かわいいならいいじゃん,関係ないですよ,て若者がこたえる。あれですね。
この頃の社会情勢もあるから「おじさん」(援交を連想させるからです)じゃなく「おにいさん」と呼んでくれないか。これはちょっと韓国ものを見てないと誤解する。本来は大人の男性の普通の呼び方がアジョシだから,年齢19でも私とあなたは距離があるんです,と示したいならアジョシ(チャン・ボリなんか18にして年上からアジュマと呼ばれていた)。オッパは,兄の意味の他,結婚しているいないにかかわらず,幼なじみとか,これから恋愛を始めようとか,旦那さんとか身近な男性の呼び方だから,年齢55でも別にかまわない。作品によってはアジョシの時は「キムさん」,オッパになって「ヒョンマンさん」というような訳の時もあるが,日本語での使い方が,大概距離に関係なく名前呼びになったので,字幕からだとどうしてもうまく消化できない。私の世代からすると,日本語の「おじさん」も「おにいさん」も特殊な世界でだけの言い方のように感じる。そこにこだわるのでなく,独身の男女の対等の恋愛であっても,男が20歳以上年上とか,女が10歳以上年上とか年齢差があるといちゃもんを付けるのが韓国なんだなというのがわかれば良い。
むしろ不思議なのは,今時の日本で,この設定をキモいとかいっている人がいること。これが評点に影響しているとしたら鑑賞者レビューの質にとって残念だ。
さて,こういう静かに流れてみんなが予想するとおりに終わる映画。何で,と考えてみた。最初はイ・ハナの親が出資してイ・ハナを主役にして,これを花道に引退させようとしたのか,なんてことまで考えたが,映画の世界はそこまで甘くない。やはりプロデューサーが脚本,監督のシン・ヨンシクにまかせてやらせてみよう,そのためにできることはしよう,と決意しないと作れるものではない。
どこの国でも,息もつかせぬ展開とか,斬新なモンタージュカットの多用とかいう映画もある一方で,こういう作りの映画は衰えを知らない一つの潮流である。もちろん好みはあるだろうが。もっとできが良ければ,「八月のクリスマス」の再来になっていただろう。そういう作品かなと思う。