「家が2つ、それでええやんか」
離婚する両親と少女の話。京都が舞台。
こんなに面白いとは思わなかった。特に台詞がいちいち素敵。
元の生活を返せ!と立て籠ったり、沢山我慢したのにとつめ寄ったり、自分を本当に愛しているのか、と子供の時に一度は彼女のように親にちゃんと伝えれば良かった。気味の悪い部屋の中、狭い尖がった三角形のテーブルの間で子供が顔色を見てずっと笑っている必要なんてない。子供の心、親知らずのようなことが沢山表現されていて切ない。
ただでさえ大人びているのに彼女は両親の為に、ひと夏でもっと大人になるしかなかった。頑張れ、頑張れと自分を鼓舞しながら、時さえも越えてみせた。最後が圧巻。
ラストがなくても良作だと思うけど、燃えて再生するあの祭り、五山の送り火と共に彷徨い神輿を見送り彼女がおめでとうと言ったシーンがあるからこそ、ずっと記憶に残っていく映画になった。
子供時代は瞬きする程短くあっという間、急がなくたっていいのに、惜しんで泣いているのは大人の私だけで、成長した彼女は誇らしげだった、救われる。自分で自分を抱きしめてあげるシーンが特に好き。一番難しいことをやってのけた。
成長おめでとう、君はとっても素敵です。