イチロヲ

ミスター・ノーボディのイチロヲのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーボディ(1974年製作の映画)
4.0
無頼漢に追われる日々を送っている初老のガンマン(ヘンリー・フォンダ)が、無名の若手ガンマン(テレンス・ヒル)との接触により、宿命付けられた幕引きを諭される。ガンマンの世代交代劇を描いている、マカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)。

「ヘンリー・フォンダ=西部劇の象徴」という図式を含ませながら、西部劇への鎮魂歌を説いている作品。西部劇映画のセオリーを逆手に取っており、単なる撃ち合いではなく、シチュエーションを利用した、スラップスティック調のアクションが展開される。

欧州での隠居生活を望んでいる年配者のガンマンと、「宿命」を覚っている明朗会計な若手ガンマンが、世代交代を前提とした凸凹コンビを結成。「出る杭は打たれる」の精神を自らに課していく、漢同士の熱いドラマが繰り広げられる。

終局では、150名からなるワイルド・バンチと対峙するのだが、ここでも血なまぐさい銃撃戦ではなく、軽妙なタッチで掃討戦を演出。一時代を築いたスター俳優に敬意を払いつつ、形骸化された西部劇に鎮魂を捧げる。男泣き必至の逸品。
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