ギズモX

ミスター・ノーボディのギズモXのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーボディ(1974年製作の映画)
5.0
『ウエスタン』『ワイルドバンチ』が西部劇のクライマックスなら本作はエピローグ。
『風来坊』テレンスヒル&『荒野の決闘』ヘンリーフォンダ出演、『怒りの荒野』トリーノヴァレリ監督作品。
送別会な雰囲気が漂う最後のマカロニウエスタン。

話の内容はというとなんとコメディ!
ザラついた砂埃と血が舞い散るマカロニウエスタンの終局に明るい喜劇を持ってくる所業は、まるでオペラ作曲家のヴェルディを彷彿させられる。
一人の凄腕ガンマン"名無し"が引退寸前の老ガンマン、ボーレガードを伝説に残る存在にさせようと画策する物語。

主人公のノーボディはいままでの西部劇とは違い、おちゃらけた行動をとりまくるコミカルなタイプのキャラクター。
ノーボディとボーレガードが繰り出す会話は終始ギグシャクしていてとても面白い!
 
クライマックスで名無しが企てたボーレガードvsワイルドバンチ150人の大決闘は、正に"伝説"を目撃することになる涙あり笑いありの名シーンであり、ボーレガードが放つあの銃弾一発一発が、これまでの西部劇の伝説を作った全てのガンマンに対しての"レクイエム"になっている。

一つの時代が終わり、新しい時代が始まったとしても、彼らの伝説は残り続ける。
いつの時代でも人間には心の支えとなる伝説が必要なんだ。

エンニオモリコーネの明るい音楽も加わって、とても清々しい気持ちにしてくれる作品です。

「あんたのその腕、歴史に残るぜ!」
ギズモX

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