たわらさん

星を追う子どものたわらさんのレビュー・感想・評価

星を追う子ども(2011年製作の映画)
3.7
ジブリっぽいの極み。トトロの森、独り言が多い女の子、もののけに出てきそうな化け物、ハクのような少年、飛行石とムスカ、ラピュタの3点セット、猫のパートナーetc…。割と早い段階で全部乗せで来るため笑ってしまう。

また雪崩のように物語が展開するため、新人映画監督にありがちな見せたいシーンの繋ぎ合わせになっている。予算と人材の関係で余裕が無いのかも知れないが間がなく緩急もない。圧倒的ジブリ感も新海誠が商業作品になるように寄せた迷走ぶりが窺える。

既視感のある世界と盛り上がりに欠ける展開に辟易したが、ラストの20分の喪失の理解と自己の肯定を描いた人間のドラマは素晴らしい。星という死を追ってきた故にアスナは回答を手に入れて、喪失と成長が不可欠なものであることを新海誠を一貫して描いている(本作に関しては台詞がクサすぎるが)。また「喪失」と同時に存在するのが「距離」であり、当たり前だが喪失の原因までの距離を0にすると回答を得られるようになっており、この距離が精神的ではなく物理的であるのが新海作品に共通するルールである。
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