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独裁者のやのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.0
フォーエバー・チャップリン特集は滑り込みで「街の灯」と「独裁者」を鑑賞。大学が休みだったら他の作品も観に行けたんだけど。

チャップリン初の完全トーキー。サイレントの世界でこそあのキャラが成立するものだと思っていたけど、音があろうがなかろうが、チャップリンはチャップリンだった。

ヒトラーの独裁政権下で戦争が始まったばかりの時代に、切れ味抜群のコメディで痛烈に批判する爽快さとラストには数分間にわたる演説シーン。このメッセージを100%享受できないのはきっと幸せなことなのだろうけど、これを観た当時の人はどのように感じたんだろうか。

トーキーになったことで動きを控えた静的なコメディも。特に銀貨のシーンは、有声だからこそ静寂の中での掛け合いが特別面白く感じられた。
地球を模したバルーンも印象的。世界を手玉に取った気になっている、そしてそんな彼の顛末を風船により皮肉る知的な風刺。

チャップリン作品3本目にして既に彼の虜になっている。
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