チャップリン自身が大して政治的ではなく共産党にも労働党にも属さないただのノンポリだという事実を知ればこの映画で行った最後の演説はやはり感動的、かつ驚異的。根っこがマジメなんだろう。
同時期の戦争風刺コメディ『吾輩はカモである』ほどアナーキーではないし、ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』みたいな洗練されていて小洒落た感じでもなく非常に実直な作り。
当時、第二次大戦下でチャップリンと独裁者ヒットラーが同い年という点がどこか因縁めいたモノを感じさせる。やはりヒットラーはチャップリンの裏バージョンなのかなぁ、とも思わせる。同い年なのにここまで人間的に落差があるのか、と愕然とする一作でもある。
「善意」と「悪意」は表裏一体だ。この時代では正義だった筈が今では完全に悪が逆転している。自分は戦争には断固反対だけど、文明が行き詰まれば一旦暴力でリセットするのもアリだと思っている。歴史は繰り返す、色んな人が降りてくる。切ないなぁ…。😢