葛西ロボ

独裁者の葛西ロボのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.8
 ユダヤ人の床屋とヒンケル総統を”同一人物”が演じることで、どちらも”同じ人間”であることを主張しているのだな。
 地球儀の風船を跳ね上げるダンス、ブラームスの音楽に合わせた髭剃り、ナパロニとの子供じみた喧嘩、そして最後の演説と見どころは満載。同時期の「カサブランカ」にしても、連合国側のプロパガンダ的ではあるが、それだけにとどまらない不変の価値観と面白さが示されている。
 最後の演説における彼は床屋でも独裁者でもなく、チャップリン自身なのだろう。トーキーだからこそ伝わるものを《この声が聞こえるか?》と懸命に伝えようとしているように感じた。