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独裁者のtjZeroのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.6
チャールズ・チャップリンが強烈なブラック・ジョークを効かせて、ヒトラーを思わせる独裁者を演じる。
第2次大戦直前にこんな作品を作った勇気に敬服。ナチスに対する怒りが、笑いのパワーも増幅させている感じがする。笑って和むシーンがあるおかげで、風刺や毒っ気もより増幅され、振り幅が激しいのが魅力。チャップリンが2役(ユダヤ人の理髪師)を演じることで、ドラマ的にも幅が出来、彼のいろんなタイプの至芸を味わえるのでエンターテインメントとしての楽しさもたっぷり。
この作品の同時期のイギリスでは、『英国王のスピーチ』のジョージ6世が演説の練習に励んでいたわけで、両作のラストのスピーチを聴き比べてみるのも興味深い。そういう意味でも、振り幅の広い、意義ある作品である。
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