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独裁者のaiのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.1
政治風刺した映画の中で最もエンターテイメントに優れた作品だと思う。

終戦が1945年。戦争が終わってから映画を作ったのではなく、世界がまだアウシュビッツの状況を知らずにいた1939年〜40年頃だと考えると、この映画の強烈な反戦・平和メッセージは、ナチスのみならず、映画完成後、アメリカの強大な軍事産業にも目を付けられ、様々な圧力や妨害があったのは言うまでもない。しかしそこまで危険を侵しながらも映画人として、世に残し訴えたかったメッセージは充分過ぎるほど伝わる作品だ。
サイレント映画に拘っていたチャップリンが、ラストの演説シーンをトーキーにしたのもよくわかる。
これには賛否両論あるだろう。
しかし、この映画がもとで赤狩りにあいアメリカを国外追放されたチャップリンが、1972年にアカデミー名誉賞に輝き約20年ぶりにアメリカの地を踏み、授賞式では5分以上に渡るスタンディングオベーションを受けたほどの賛辞を考えると、ラストをトーキーにしたことをどうこう語るのは、もはやナンセンスなのではないかと思う。

この映画の良さがわかるまでにずいぶん時間(年齢)がかかってしまった。
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