エディ

独裁者のエディのネタバレレビュー・内容・結末

独裁者(1940年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

何十回観ても新たな発見がある奥深い名作。笑えて泣けて考えさせる時代を超えた素晴らしい作品。
始めはチャップリンっぽいあざとく大げさなコメディばかり。チャップリンの大げさなアクションが好きじゃないので、この辺は引いているが、コメディを通して言いたいメッセージがだんだん出てくる。地球儀の風船で遊ぶ独裁者は少年のように軽やかで夢見心地だが、少年の自己中な妄想を残酷に実行したのが独裁者なのかもしれない。
前半の戦争シーンはコメディにして、映画での戦争は食べ物を使ってやっている。実にバカバカしい喧嘩だが、実際の戦争もこの程度にばかばかしい。
敢えてヒンケルのスピーチを何語かわからなくしているのは、ぐだぐだ言っているけど聞く価値すらない戯言という意味だろう。大げさな身振りだけで中身がない大衆扇動政治の素晴らしい風刺。
そして、ラストの名演説。シュルツが「助かる望みは演説するしかない」と言ったときの「hope」という言葉に反応して出てきた希望溢れる演説。しばし間をおいてから繰り出される言葉の美しさは、キング牧師の演説と並ぶ位に感動的な英語スピーチで、聞いているうちに泣けてくる。ラストのハッピーエンドも良い。
シリアスなテーマで笑わせて、しかも言いたいメッセージを伝えられるんだから、チャップリンは天才だよなって思う。
エディ

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