ボブおじさん

ミスター・ベースボールのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ミスター・ベースボール(1992年製作の映画)
3.2
朝からWBC決勝 日本vsアメリカに釘付け。日本が見事に大会3度目の優勝ということで、この日の午後はテレビから途切れることなく流される侍ジャパン激闘の勇姿にしばし酔いしれる😊

第1回大会から見続けてきた身としては、大谷翔平という時空を超えたモンスターは別格としても、技術だけでなく投打ともスピード・パワーが格段に進歩した日本野球に隔世の感がある。

どんな映画もかすれてしまう劇的なフィナーレを見せてくれた最高の試合の後に、名作映画など観てはいけない。それでは最高級ステーキの後に高級ハンバーグを食べるようなものだ。

こんな日に映画を見るなら、何時でも切り上げて気持ち良く眠りにつける手軽な映画にしようと選んだこの一本。

中日ドラゴンズにトレードされた落ち目のメジャーリーガーが、日米文化の違いを乗り越えて奮闘する姿を描いたスポーツコメディ。当時の日本とアメリカの野球に於けるそれぞれの立ち位置を分かりやすく描いており、腹立たしくもちょっぴり笑える😊

トム・セレック演じる元メジャーリーガーと、高倉健演じる中日ドラゴンズの監督(明らかに星野監督がモデル)が対立しながらも信頼を深めていく様が見もの。お約束の誇張された日本描写はあるものの当時のアメリカから見た日本と日本野球は、実際こんなものだったんだろうなと思い起こす。

野茂英雄が海を渡りメジャーリーグでトルネード旋風を巻き起こすのは、この映画の公開から3年後のことである。

それから更に28年後の2023年、全世界同時公開のWBCという名のゲームの中で、現役最強のメジャーリーガーを脇役にして日本人が主役を演じた。


〈余談ですが〉
トム・セレック演じるベテランメジャーリーガーをトレードに追い込むマイナーの有望株を演じたのは、当時売り出し中の現役メジャーリーガーのデーブ・ウィンフィールド。その後も活躍し続けた彼は44歳まで現役を続け、メジャー通算3000本以上の安打を放ち野球殿堂入りを果たすスーパースターとなった。

同じく外国人助っ人役で元ロッテ・横浜大洋ホエールズで活躍したレオン・リーも出演している。ちなみに彼の息子デレク・リーは、メジャーリーグのスター選手となり(首位打者1回、オールスター出場2回、ゴールドグラブ賞3回)第1回目のWBCでアメリカ代表としてあの〝世紀の誤審〟で有名な日本戦に出場して清水直行から同点のツーランホームランを放つなど4試合で3本塁打・8打点の活躍を見せた。