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ナサリンのmareのレビュー・感想・評価

ナサリン(1958年製作の映画)
3.5
荒くれ者が蔓延るスラム街に住む1人の神父ナサリン。彼はセキュリティガタガタの家に住み窓から人が入ってきても金を盗まれても何も言わず、施しも罪も全ては神の采配と信じて疑わないほど善良な男だ。そんな彼の元に急に殺人を犯した女が飛び込んできてそこからドミノ倒しのようにトラブルの連続に見舞われる。徳を積めば積むほど何故か理不尽なことが起きすぎてブニュエルの性格の悪さが思う存分発揮されている。世の中には汚い人間がいっぱいいる、そんな環境下で揉まれて神父としての人格が剥がれてしまいそうな瞬間が時折あり彼もまた普通の人間だと思わされる。ビリディアナとかもそうだが、ブニュエルの強烈な宗教批判を感じ取れて良くも悪くも色々考えさせられる。
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