似太郎

ナサリンの似太郎のレビュー・感想・評価

ナサリン(1958年製作の映画)
4.4
メキシコ時代のブニュエル作品の中ではかなり完成度の高い方。神父ナサリンの巡礼の旅を通して描かれる不幸、苦悩の連鎖。正しいことをすればするほど空回る。

一回宝くじを当てた人がその後何度も外れてばかりの痛々しいパターンに似ている。そんな意味でこの作品はやはりコメディという他ない。最早ドン底の状況を笑い飛ばすしかない一種のヤケクソ感。こういったダメ人間を通して世界の出鱈目さを如実に浮き彫りにさせているのだろう。そこが凄い。

ブニュエルの底意地の悪さと挑発的姿勢はある意味パンキッシュでさえある。稀代のシュルレアリストによる馬鹿のリトマス試験管映画といった趣。文句無し!
似太郎

似太郎