はじまりの記憶 杉本博司のルサチマのレビュー・感想・評価

杉本博司の写真家としての活動から、最近の護王神社の建築の活動、小田原の発見までを非常にわかりやすく追っていて杉本博司を知る上でかなり入りやすい映像資料だ。最近直島で実物の護王神社を見てみると、この映像には言及されてなかったものの、生命の起源、個人史の記憶の原点としての《海景シリーズ》が明らかに意識され、人1人入れるくらいの古墳の狭い入り口が目の前に広がる海の地平線を切り取るフレームとしての役割を果たしており、月並みだが曰く言い難い感動を味わった。やはり歴史を振り返る人間が辿り着くのは神仏習合より前、さらには国家神道以前の人間の生活史であり、そして生物学的思考だ。