イチロヲ

文学賞殺人事件 大いなる助走のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
私小説の高評価により文壇入りを果たした青年(佐藤浩市)が、無名時代に所属していた同人サークルのメンバーから嫉妬を向けられてしまう。筒井康隆・著「大いなる助走」を映像化している、コメディ映画。

文壇に関わる人間たちの卑しさと偏屈ぶりを自嘲気味にスケッチしている作品。文壇の世界に飛び込んだ主人公が、同人サークル(石橋蓮司など)、出版社(ポール牧など)、文学賞の審査員(小松方正など)の人間関係に取り込まれていく。

日活ロマンポルノと東映エクスプロイテーションで活躍していた俳優陣が、再結集&初対面しているため、映像がドエライことになっている。とりわけ、三十路に突入した泉じゅんが大人の色気を香気芬芬とさせており、鈴木則文演出による濡れ場が実現している。

個人的に、ある作家の作品名が「ベットタイムエイズ」となっているところが気に掛かる。文学でベッドを「ベット」と表記するのはあり得ないことなのだが、意図的な演出なのだろうか。そして、この指摘も批評家の滑稽な一面として、あしらわれるのだろうか。
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