のんchan

クルージングののんchanのレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
4.1
フリードキン監督追悼鑑賞6本目。

これは観たかったヤツ。
久しぶりに観たアル・パチーノのオーラが眩しくて、献身的な演技をしているのが伝わり、なんだか感動してしまった。

タイトルの『クルージング』はゲイ用語で"男を漁る行為"を意味する。
公開当時はゲイ団体から「偏見を増長させる」と猛バッシングを受け、興行収入もふるわず、重ねてゴールデンラズベリー賞ノミネートと散々だったようです。


70年代のマンハッタンでゲイを狙った殺人事件が頻発する。そこで捜査本部長(ポール・ソルヴィノ)はゲイが屯するクリストファー・ストリートを睨み、被害者の特徴(黒髪、黒目)に似ている若手警官スティーヴ(アル・パチーノ)を潜入捜査官に抜擢して囮捜査をさせ、もし犯人を捉えれば昇進を約束する。
スティーヴは夜な夜なSMクラブに出掛けて情報を仕入れていくのだが...

クラブはコアな格好をしたギラギラのゲイだらけ。ムチや棍棒、手錠を持ち、ポリスのコスチュームを着たり、独特なゴム紐だけのアンダーウェアを付けた裸の男たちのアングラな世界。本物感バッチリでかなりの緊迫感がある。

スティーヴは彼女のナンシー(カレン・アレン)にも仕事内容は語れない。任務のストレスが半端なく、性生活にも支障が出て精神状態が不安定になり「俺を捨てないで」とすがる。
とうとう真犯人と思しき男と接触し対峙することに...


いや〜、私的にはアル・パチーノの魅力を存分に感じられました。
もちろん有名作のパチーノは言うことなしだけど、B級ド真ん中のこのような作品ですら力を抜かずに演じ切っていて、更にファン度が上がりました。


この作品の企画にデ・パルマ監督が興味を持っていたそうで、『殺しのドレス』の犯人像に似ていると思いました。
しかし、今作のオチは厭世的なフリードキンらしさが出ていて、ギョッと驚かされて幕。


なぜかそこだけお笑いなの?と呆気に取られるシーンがある。
警察で勾留中に突如出現する謎の黒人男(たぶん脅し役の警官)が、パンイチでカウボーイハットを被り突如現れては、何も言わずにスティーヴともう1人の容疑者に平手打ちをかます。ほんとそのシーンだけ"ガキ使"になってた(笑えてしかたない)


真面目な警官の気持ちの変化を見せ、誰でも衝撃的な環境にあると影響されて変わってしまうことはあるのかも?

いや〜面白かった、好き!!
のんchan

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