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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のTrueRyのレビュー・感想・評価

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
4.0
アマプラで攻殻シリーズが帰ってきたのでメディアをもっていないこの作品をひっさびさに鑑賞。
このあとに続くS.A.Cシリーズ、イノセンス、Arise、SAC2045のまさに原点でもあり、単体でも完成された素晴らしい作品でもある。

好みだけでいうと私はSACの素子や9課の面々の方が人間臭くて好きなのだが、この作品は細かい箇所は異なるが基本的な彼らの関係性や、仕事に対する姿勢、などを丁寧に描いており、その点において非常に好感がもてる。

中でも今後のシリーズでもキーになる、バトーの”素子”への思い、トグサのマテバ(リボルバー)へのこだわり、人と機械との境界、といった重要な世界観がこの作品で完成されている。

少佐(素子)についても触れておくと、この作品では揺れ動く素子、が見れるのは貴重。自分達は果たして生まれてきた人なのか、はたまた作られた記憶なのか。その不安定さの中で、人形遣いとの邂逅が生物としてのあり方に変化を与える。SFだからではなく、DNA羅針盤で描かれるように、人たりえるためには、人とは、といった普遍的なテーマが描かれている。

私はその疑問に対しての答えが、SACシリーズで見せる、素子の腕時計や、バトーの筋トレだと思っている。人が人であるために必要な外部装置、それを重要にしている彼らが、この作品の時よりも精神的、肉体的に強い要因だと。

どちらかというとSACのレビューに近くなってしまったが、映像美、アングル、BGMなど、本当に高いレベルで完成されている作品である。あの不思議なBGMを聞くたびに、「ゴースト・イン・ザ・シェル」の世界観に入り込んでしまう魔力がこの作品にはある。押井ワールド全開な作品でもあるので、難解であることも事実。何度観ても楽しめる、そういう楽しみ方をしてほしい。

※ボートで聞く詩、がいつも聞き取れない、なんとかならんか。。。
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