『サイボーグは電子の海で夢を見るか?』
押井守監督による、言わずと知れたSFアニメーション。85分とは思えぬ濃密さである。
近未来を描いたSFは時代が進むにつれて陳腐化しやすいのだが、今作はかの名作『ブレードランナー』と同じく、古いのに新しい不思議な感覚に陥る世界観作りに成功している。
また、特有の難しい単語が飛び交うにも関わらず作品に没入することができたのは素晴らしい脚本のおかげであり、さらには作画のおかげである。
極めつけは第一線で活躍するベテラン声優陣が集結しキャラクターに命を吹き込んでいること。このことで真に"生きた"キャラクターを見られたのだ。
アクション新時代を切り開いたあの『マトリックス』も今作の影響を受けたというのだから、今作がSFの世界でいかに欠かせないピースであるのかが窺い知れる。
自分は一体何者なのか、自分を自分たらしめるのは何なのか。いつのまにか深い思考に耽ってしまうような示唆に富んだ傑作。
そして、さ
…あ、レビューに
光学迷彩起動しちゃってた。
なーんて、くだらないオチにしたくなっちゃうくらいにロマンあふれる作品だ。