ゆう

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のゆうのレビュー・感想・評価

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
4.5
1995年にこんな映画があったなんて完全にオーパーツだろ。作画的にも内容的にも。20世紀末インターネット黎明期日本の映像作品には独特の魅力がある。世紀末的な厭世観、科学技術と未来への不信、失われた30年のはじまり、不景気からの重苦しい雰囲気。ネットに接続された社会への根源的不信感。大好き。lainもそんな感じかな。
90年後半から、iモード、2ch、Winnyとか日本がITテックの技術的にも文化素養的にもトップランナーだったはずなのにどうしてこうなったんだろう。悲しい。

個人が個人であることは、幻と同義のような記憶に唯一依存しており、外部デバイスに記憶データをアウトソースできることの意味を私たちはもっと深く考えるべきだった。
なにも考えなかった我々は、ひたすらに自己の中身を外部デバイスにぶち撒け続けて、出来損ないの誰も彼も似たり寄ったりのデータの塊を自分だと信じている。

伝説の名シーンをちゃんと見れた。嬉しい。「確かに写ってたんだ……俺の娘……まるで天使みたいに笑って……」悲しい。
これ治せないのか。地獄みたいな話だな。

自己増殖するコンピュータと、融解していく自他領域と、何処までも不確かな自己存在証明。人形使いという名前はとても皮肉。めちゃくちゃよかった。
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