Omizu

ドレッサーのOmizuのレビュー・感想・評価

ドレッサー(1983年製作の映画)
3.5
【第34回ベルリン映画祭 男優賞】
同名舞台劇を映画化した作品。監督は『ブリット』ピーター・イェーツ。アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞(アルバート・フィニー、トム・コートネイ)、脚色賞の4部門で5ノミネートされた。

まぁまぁ面白かった。けど「舞台の映画化」という枠からはみ出ることはなかったかな。良くも悪くも舞台っぽい作品。

シェイクスピア劇団を率いる座長、そしてその付き人を中心に劇団内の人間関係を描き出していく。

わがままな座長を演じたアルバート・フィニー、ゲイの付き人を演じたトム・コートネイはどちらも熱演。気難しさをあられもなくさらけ出すフィニーは自然な上手さ。コートネイの終盤の演技もよかった。

外の音が聞こえる演出はあれど劇場の中だけで完結、そして時代背景も語られる多層的なつくりになっている。それぞれの人物が象徴のようになっており、キャラクター構成が上手かったと思う。

しかしどうも戯曲の映画化というのは苦手みたいだ。『ファーザー』みたいに離れ業だと気にならないけど、『マ・レイニーのブラックボトム』とかこういうのはどうも好きになれない。

よく出来ているとは思うが、一つの舞台から動かない分窮屈さを感じてしまう。映画なんだからもっとスケールアップしてもいいのではと思う。これはこれで完成度が高い一作ではあるけれど物足りない。
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