マツモトタクシー

絞死刑のマツモトタクシーのレビュー・感想・評価

絞死刑(1968年製作の映画)
4.9
大島渚 脚本、監督作品



在日朝鮮人死刑囚Rは強姦致死等の罪で絞首刑に処せられた。。

しかし信じられないことに絞縄にぶら下がったRの脈はいつまで経っても停止せず処刑は失敗する
縄を解かれたRは刑務官達の努力の末に漸く意識を取り戻すが処刑の衝撃で記憶を失い心神喪失となっていた

刑事訴訟法により刑の言い渡しを受けた者が心神喪失状態にあるときには執行を停止しなければならない

刑務官たちは再執行のために彼に記憶と罪の意識を取り戻させようと躍起になるがRの無垢な問いかけは彼らの矛盾を鋭く抉ってゆく。。






以下ネタバレ



こんな作品があったんだ。。😅
僕が子供の頃、大島渚監督は何となく「愛のコリーダ」の猥褻裁判をしていてその後「朝まで生TV」で野坂昭如さんと議論したり怒鳴ってるというイメージ学校ではY.M.O.の教授ファンが「戦場のメリークリスマス」は名作と言っていてその頃はよく解らんがデヴィド・ボウイも出演しているし凄いのかなと思っていた



その何年か前こういう尖りまくった作品を撮っていたのでヨーロッパでは評価されていたんだろうなと納得
「少年」も凄い作品だったけどこの作品は今まで観たブラック・コメディの中でも1番面白かった😀


忠実に再現したという死刑場を舞台に延々と続くやりとりは死刑制度の原理的な問題から在日朝鮮人差別の問題さらには貧困を背景とした犯罪心理にも及ぶ

ATGが独立プロダクションと制作費を折半する「一千万円映画」の第1弾


昔の小人プロレスや葬儀の時お経を唱える住職の頭にハエが止まる、子供の時に障害者の方の歩き方がおかしくてつい笑ってしまう等の思わず笑ってしまったが不謹慎で自身の闇の部分を見るみたいでゾッとする。。そんな超禁忌な笑い😅

特に前半部分の滑稽さは秀逸
中盤は民族問題になり現実なのか幻覚なのか夢なのか抽象的に演じているのか解らなくなりやや失速した感があったけど最後の落ちも好み☺️

1958年に発生した小松川事件を参考に問題提起
この事件も知らなかった。。
衝撃的な事件だか民族問題が絡んでいるから現在、余り伝えられていないのだろうか。。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6



国家とは?宗教とは?民族や人種とは?尖りまくった笑いで問題を突き付けてくる「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に匹敵する大傑作☺️