“絞首刑”ではなく、”絞死刑”。
冒頭「あなたは死刑場を見たことがありますか」という手書きメモと
続く死刑場の説明にガツンとやられる。
我々は死刑場をこの目で見たことがないし、
死刑についての詳しい情報を与えられていない。
ただ「殺人を犯した者は死をもって償う」ことが
当たり前とされる社会で生きている。
在日朝鮮人で冤罪の可能性もある青年を“絞首”するという
重たい話しと思いきや、
この映画は、達者な役者たちによる「シチュエーションコメディー」だった。
だから映画というより、舞台を映像化したような感じがした。
(舞台版があるなら是非観て見たい)
ATGの低予算映画ということもあって
映画的には物足りない部分も感じたけれど
この映画で描かれていることを持ち帰って
自分なりに色々考えたい、そう思わせるには十分だった。
コメディータッチな故に、
死刑制度や在日朝鮮人問題の本質から外れてしまっているようにも感じたが、シリアスに描くとそれこそ観るのに重たくなってしまうし、
無関心な日本人を気づかせるためには
このやり方しかないのか、と思った。