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絞死刑のmasaのレビュー・感想・評価

絞死刑(1968年製作の映画)
3.8
最初の入りは、死刑場の中をリアルにナレーションし、これからどんなに重い展開が待っているのかとブルーになったが、その後ガラッと変わり可笑しい展開を盛り込み笑わせてくれた。

タイトルやジャケの感じ、取り上げているテーマはシリアスで重い感じだが、意外とコミカルであった。

1958年の小松川事件がモデル。
在日朝鮮人死刑囚"R"は強姦致死等の罪で絞首刑に処せられた。
しかし信じられないことに絞縄にぶら下がったRの脈はいつまで経っても停止せず、処刑は失敗する。
縄を解かれたRは刑務官たちの努力の末に漸く意識を取り戻すが、処刑の衝撃で記憶を失い心神喪失となってしまっていた。
刑事訴訟法により、刑の言い渡しを受けた者が心神喪失状態にあるときには執行を停止しなければならない。
刑務官たちは再執行のために彼に記憶と罪の意識を取り戻させようと躍起になるが…

忠実に再現したという死刑場はなんともリアル。
タブーの死刑制度の問題や在日朝鮮人差別の問題、貧困を背景とした犯罪を取り上げ、観ているもの心に問いかける。

これが実際に起きた事件だと思うと、ほんと驚愕。これだけの題材を見事にエンターテイメントに仕上げている。見事としか言えない。
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