みむさん

虚栄のかがり火のみむさんのレビュー・感想・評価

虚栄のかがり火(1990年製作の映画)
3.0
普通に面白かった。当時はラジー賞ノミネートだったらしいが、そもそもラジー賞は半分おふざけだし、年月経て評価が変わる作品もあるからそんなに過剰に気にする必要ないだろうけど、製作にあたりいろいろあったのね。その製作のゴタゴタを書いた本も出ていた(邦訳は出てないようだ)。

ブライアン・デ・パルマ、トム・ハンクス、ブルース・ウィリス共演、このありそうでなかった組み合わせが良い。
子供時代のキルスティン・ダンストがマッコイ夫婦の娘役で出ている。これが初めての長編実写映画出演だったみたい。

愛人マリアの運転で黒人青年を轢き逃げしてしまい、正直に警察に出頭したいマッコイとシラを切りたいマリア、同じ白人リッチ層の二人が虚栄と欲望にまみれて正義を失ってしまうのか。
ブルース・ウィリスが記者としてこの一部始終を語っていた。

観てるととにかくマリアに苛立つ。轢き逃げに限らず名声や富を失いたくなくて嘘をつく話はよくあるけど。マリアのシラの切り様は裁判まで至っても続く。
証拠がないのをいいことに、悲劇のヒロイン自作自演で不快きわまりない。

ブロンクス地区における人種差別も背景にあるけど、結局のところ人種関係なく道徳心より歪んだ欲望と虚栄心が勝ってしまう人間の成れの果てを描いてた。
差別にさほど踏み込まず皮肉も感じないので原作読んだほうがいいかもしれないな。

マッコイも散々な目にあうが完全な善人ではなく、元はといえば不倫に端を発しているし、真実のためには嘘をつき、不気味な笑いを見せているのがなんともね……。