トシ

グエムル -漢江の怪物-のトシのネタバレレビュー・内容・結末

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

🎬グエムル・漢江の怪物🎬

DVDにて鑑賞

公開日2006,09,02

監督#ポンジュノ

出演#ソンガンホ #ペドゥナ

【ストーリー】
ソウルの中心を貫く漢江(ハンガン)の河川敷で、小さな売店を営みながら暮らすパク一家。
普段と変わらない日を送っていたパク一家の面々だったが、ある日突然、漢江から飛び出してきた謎の巨大な怪物に娘ヒョンソを奪われてしまう。。

【作品のジャンル】
モンスターが登場するパニック映画に思われるが、軸として家族の絆を重きを置いているファミリー映画であるとも言える。

もうあらすじからもわかるように、本作は誘拐された娘を救出しようと奮闘する家族の物語である。

【クリーチャー】
本来この様な物語はクリーチャーが少しずつ姿を見せて後半からクライマックスにかけて姿を表す。というのが定番化と言える。
しかしグエムルはかなり早いタイミングで姿を見せて暴れ回る、これもポンジュノならではの手法なのかなと思う🤔

そうすることで物語に入りやすく観ているものに伝わりやすい仕上がりとなっている。
その反面【ゴジラ】の様に誕生を事細かに描けているのも見てみたいと思ったが、こう言った見せ方も面白い👏

【紙一重の演出】
初めにグエムルが出現した際、カンドゥはたまたま居合わせた駐韓米軍の下士官とともに、グエムルに攻撃を加えようと動き出す。
純粋にパニック映画だと逃げ惑うだけだが、この時点で化物をただ怖がるのではなく倒してしまえという妙なアグレッシブさがこのカンドゥというキャラクターから滲み出ている。
この演出は人によっては大いに笑ってしまうとこにも見えて、紙一重でパニックから妙な正義感が生まれ立ち向かうリアルさを出している素晴らしい演出に感じる👏

【グエムルの誕生】
グエムルは川に流されたホルムアルデヒドを摂取した生物の突然変異によって誕生したクリーチャー。
作品の冒頭において駐韓米軍の霊安室で、米軍医師と韓国軍の医師が医療用器材を洗浄している様子が映し出されている。

ゴジラにおいても人間の核実験の犠牲として、突然変異で誕生した流れがある、今作も同様だと言える。
でも2000年には実際に在韓米軍がホルムアルデヒドを漢江に流すという事件も起こっており、こちらの方はあくまでリアルさを出しており、しかもその中で反米的な要素が冒頭から含まれていることがわかる。
むしろ監督はここが1番見せたかったのではないかと思ってしまうほど🤔

【反米要素】
冒頭の出来事もそうだが、今作では反米要素がチラつく演出がされている。

物語中盤グエムルに対してWHOは、【エージェント・イエロー】と呼ばれる化学兵器を投入する準備を始めて、健康被害への影響を心配する市民と警察との対立が起こっている。
因みにこの【エージェント・イエロー】はアメリカがベトナム戦争時に使用した枯れ葉剤【エージェント・オレンジ】にちなんだもの。

こちらも冒頭でグエムルに襲われた被害者の体からウイルスが検出されたと報告したのは米軍。
だがその後、ウイルスは発見されなかったことが明らかになる、つまり感染症は米軍の誤報告であった。

そのため【エージェント・イエロー】は単に米軍が体裁を取り繕うために使用されることになる。

ポンジュノ監督は【パラサイト半地下の家族】でもそうだがメッセージ性が強い監督と感じている。
今作でもグエムルというクリーチャーに目を向けておき、要所要所に散りばめられた重要なメッセージを入れ込むあたりが監督らしい作品になっている👏

【救出】
攫われた娘、ヒョンソを救出するも結論を言えば彼女は死んでしまった。。
家族総出での娘の救出劇だったがハッピーエンドとはいかない結末もリアルさなのだろうか。。

曖昧な期待感は無くしてそのままを見せる、都合よく攫われた娘だけが助かるなどということをなくしたのは正解に思えた。

【まとめ】
ポンジュノ監督作品はヒューマンがメインだが、このようにクリーチャーが出る作品でも裏テーマがしっかりしており物語の厚みに驚かされた🎬

やはりポンジュノ監督作品は一度観ただけではわからないのが良い👏

トシ

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