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グエムル -漢江の怪物-のヒムロのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.5
漢江の側で売店を営むカンドゥとパク家族。
しかし川から突如として現れた巨大な両生類の様な怪物に娘のヒョンソを連れ去られてしまう。
しかし避難先で娘の死を悲しむカンドゥの携帯にヒョンソから電話が。
怪物の病原菌を保有している可能性があるとして軟禁状態の避難所だったが、家族を助けるためにパク一家は脱出を決意する。


モンスターパニックものの面白さもさることながら、要所にゴジラへのリスペクトを感じる一作。
川へ違法に流れた化学物質によって巨大化した両生類というここまではゴジラリスペクトとしてはありがちなラインだが、米韓の関係性や情報錯綜による恐怖など近代らしいエッセンスでチクリと世相を刺すあたりにも強いリスペクトを感じた。
グエムル=不確定な情報 であるという風に訴えているように感じた。


ストーリーラインは家族がバラバラになっても同じ目的のために動くストーリーが面白い。
展開が一本道にならずに多角的な面白さを表現できているが群像とかが見辛い人には見辛いかも。
韓国系の映画は家族愛的なテーマが結構多いように感じるが、儒教的な考えからだろうか。
こういう話で施設を脱走するのに家族が全然反対せずに一眼となるのは違和感があったがこういう表現は韓国らしい。

なんといってもグエムル(韓国語で怪物のこと)の造形が素晴らしい。
ゴジラだけではなくエイリアンやデモゴルゴンからも影響を受けていそうなデザイン。
邪悪で力強く、そしてスマートでスタイリッシュな事が見た目にきちんと表されていてグッドデザイン賞物。
グエムルの像が韓国では最近まであったらしいが、こいつを撤去するなんてとんでもない事だ。

カンドゥのスペックの高さだけがちょっと人間離れしすぎていて萎えるポイント。
ウイルスが原因だとばかり思っていたんだが…なんだかそこは裏切られた気分になった。

おじいちゃんに関してはあのラストはあまりにも可哀想すぎるというかギャグシーンにすら見えてしまったので、もっと慎重な扱いが欲しかったところ。
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