近藤啓二

キツツキと雨の近藤啓二のレビュー・感想・評価

キツツキと雨(2011年製作の映画)
4.3
日本映画は「何も起こらないのがちょっぴり贅沢ほっこりムービー」「なんか知らんけど飯食ったら幸せになりました食堂」「キラキラしたカップルになったんだけどどっちかが病気で死ぬ」「誰守るか興味ないけど、必ず誰かが誰か絶対守るって空に叫ぶ」系が乱立してる。

CM俳優が増殖しすぎてこうなったわけですが。
ほんとこういうタイプの映画って大嫌いなんですが。

何年か前に、観るものがなくて、連れと一緒に飛び込んだ映画がこの「キツツキと雨」だった。

ダサい脱力系に比べるまでもなく、この作品は細かい機微をうまく描いた秀作で本当に、よくできている。
阿呆みたいな説明ゼリフを廃して、とにかく画で見せる、役者で見せることを徹底している。

映画の開始早々、役所広司さんが木の伐採作業をしているのだが、代役を立てずに、まるまる1本の大木を切り倒す、さらにその近くに古舘寛治さんがインしてくる、と言うのを逃げずにきちんとワンカット、一枚画で収めている。

映画ってこれ。
映像は誰でも撮れる

「奇跡のリンゴ」はこの映画でもう一回、山崎努さんの使い方を勉強し直して欲しい。

今回DVDで改めて再鑑賞。
すべての演出が、本当にうまくハーモニーのようにまとめられていた。

一緒に劇場に入った連れとぎくしゃくしていたので、もったいない観方をしたと思う。
いま元気にしてるだろうか。
近藤啓二

近藤啓二