このレビューはネタバレを含みます
この監督さんの作品好きだなあ。
その後は別々の営みに戻っていくのだが、お互い以前よりも良い状況。お互いの影響が残ったままその後の営みが続いてく。EDの「すべて憶えているはずだろ」という歌詞が優しい。
克彦からプレゼントされた木製の監督椅子はとても重くて現場に持って行くには不向き。それをきちんと次の現場(しかも海)に持って行って使っているところが微笑ましい。これからもずっとお守りのような存在であるんだろうね。
序盤の克彦は、息子のことが大切なのに上手にコミュニケーションをとることができておらず、殴ったり出ていくところを止められなかったり。幸一と親との思いを聞き、親の気持ちを代弁した後、奥さんの三回忌の席できちんと息子の気持ちを尊重した言葉を口に出すことができるようになった。
出ていったはずなのに、三回忌のために戻ってきて1人で完璧な準備をして、父の分のスーツも出してあげているの偉いね。いつのまにか大人になっていたんだね。(と思ったことであろう…)
息子との食事は、序盤は別々のお皿で食べていたのに、最後は大皿に盛ったおかずを一緒に分け合って食べている。同じ釜の飯を食べれる仲、和解した感じのラストで良かった。
幸一と1つのあんみつを一緒に食べるシーンは、初めて同じ釜の飯を食べているシーンでもあり、禁断の果実を分け合うシーンのようでもあり。自分ルールを破ったことでとんでもない失敗が起こってしまうのだろうかと緊張したが、めげずに撮り直し続けて、認めてもらうことができて、良かったね。
ラストの「よーい、はい」で克彦のシーンになって終わるところも好き。作品開始直後の克彦シーンよりもずっと格好良くて、主人公っぽいのだ。