TinuHayase

仏陀再誕のTinuHayaseのレビュー・感想・評価

仏陀再誕(2009年製作の映画)
1.5
「悟りにチャレンジ!」

映画を観て「死ぬ!」と思ったことが二度ある。それが「死霊の盆踊り」と「仏陀再誕」である。どちらも笑いすぎて呼吸困難になったからだ。共通点はどちらも真剣そのものであり、狂気に満ちているということである。前者は映画に対する愛と絶望的なまでの才能のなさが産み出した狂気であり、後者は宗教的狂気である。
自宅で「死霊の盆踊り」を観て(大体無言で一時間くらい観た時点であまりのつまらなさで女体がゲシュタルト崩壊して笑いに変わる)笑う分には良いが、劇場で「仏陀再誕」を観ながら爆笑するのは身の危険を感じる。実際「駅前で貰ったから一緒に観ようぜ」とチケットをくれた友人は僕があまりにも遠慮なく(我慢出来なくて)笑うのでガチでビビりまくっていた。
内容的には、大川隆法が池田大作と戦って倒すというもので、映像的には「インディペンデンス・デイ」と「ヒア アフター」と「レイプレイ」(CGの出来が非常にこの映画に近い海外で発禁になったエロゲー)を足して2で割らなかった感じである。すごいのは狂った論理に貫かれているとはいえ、脚本の整合性はマシな方であり(もっとひどい邦画はたくさんある)、声優は豪華だし、それなりに訓練を積んだ映画ファンなら普通に楽しめるということである。作画やセンスは21世紀とは思えないほど古くさいが、まあそこも味だろう。ちなみに僕は平井和正の大ファンであり「幻魔大戦」も出版社ごとに揃えている(関係ないか)。
霊能美少女が悪の組織の陰謀を暴くシークエンスから宇宙戦争が始まり、津波が日本を襲い、天使と仏陀が降臨する。ちょっといくらなんでもスペクタクルし過ぎだ。
宇宙戦争が始まった時点で映画がおかしいのか自分がおかしいのかディック的現実崩壊感に襲われるし、さらにそれが○オチで、その上津波まで○オチとかタブー破りまくってもまったく気にならなくて、ただひたすら宗教ってコワイという思いとシュール過ぎて腹が痛い、それしか感じなくなる。
人の感情を動かすのが傑作の条件だとするならば、この映画は★5の大傑作である。ただし、それは制作者の意図とはかけ離れた方向で、限りなくマイナス方向である(信者は別)。
貶してるように読めるかも知れないが、僕はこの映画がかなり好きである。ブラックユーモアの極北だと思う(真剣だからこそ面白い)。
いつかまた幸福の科学の映画を劇場で観る機会があったら、次は笑いの発作対策に涙を拭くハンカチと、毒電波を適度にやわらげるアルミホイルを持参していこうと思う。
あっ、あとテーマソングがオ○ムなみに最高だから絶対聞いてくれよな!
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