カタパルトスープレックス

賞金稼ぎのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

賞金稼ぎ(1969年製作の映画)
3.5
なんでもぶっ込んできた若山富三郎のもう一つのヒットシリーズ。映画がヒットしてテレビシリーズになったのは本作「賞金稼ぎ」と「子連れ狼」の二つ。「子連れ狼」は萬屋金之助にテレビは譲りましたが、本作のテレビシリーズは若富本人が演じることになりました。

さて、「なんでもぶっ込んできた」とはどういうことか。本作の主人公である錣市兵衛(しころいちべえ:若山富三郎)は女性をたらしこむジェームス・ボンド的なスケコマシにもなるし、座頭市のような盲にもなるし、拝一刀のようなガジェット使いにもなります。個人的には池波正太郎の『仕掛人・藤枝梅安』も混じっていたように思います。もう、なんでもアリ。

本作は道中モノですが、パーティーを組むのは錣市兵衛、陽炎(野川由美子)と曲垣藤九郎(潮健児)の三人。後でわかるのですが、この三人はそれぞれ別の勢力を代表しています。なかなかちゃんと作ってある!野川由美子は美しいなあ😍

しかし、この作品に重みを持たせているのは伊集院右京を演じる片岡千恵蔵ですよ。薩摩の示現流の達人。マンガ『ドリフターズ』で島津豊久が使うアレですよ!この片岡千恵蔵の立ち位置が勢力バランスを握っていて、その辺の作りもうまいと思いました。

ただ、もう少し若山富三郎らしいクレイジーさは欲しいのも事実。手堅い作りではあるし、普通に面白い。ただ、ボクが若富に求めるのはクレイジーさなんですよねえ。

そう言えば、本作で若富は鞭で撃たれて馬で引き摺り回されるんですよねえ。なんか既視感。『座頭市千両首』(1964年)で座頭市に同じことやってましたよね!お兄ちゃん、自分もやられたかったんだ!