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ブラッドシンプル ザ・スリラーのadeamのレビュー・感想・評価

2.5
作家性を保ちながら興行的にも一定の成功を得る素晴らしいキャリアを歩むことになるコーエン兄弟の監督デビュー作。
金と欲望とボタンのかけ違いが悲劇を雪だるま式に泥沼化させていくという後の作風の雛形を既に完成させている物語です。
公私に渡るパートナーのマクドーマンドもまだ20代で初々しい演技を見せています。
登場人物の感情と思考の行動への繋がり方が今ひとつで、それが持ち前の不条理な世界観を作り出すというより、唐突な展開に感じられてしまうあたり語り口がまだ洗練されていない気がしました。
それでもセンス抜群の演出が随所に見られ、状況を映像的にどう見せるかの発想が素晴らしく、ラストの死に際で見上げる洗面台の排水管はその最たる例でした。
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