Automne

プラトーンのAutomneのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
4.5
ベトナム戦争の代名詞的な映画、タイトルだけ知ってて手を出してなかったのだけどようやく食指が伸びた。
最近ドキュメンタリーをよく見るようになってきて、フィクションではあるが従軍経験のある製作者の語る戦争というものに、教材的な意味で何かしらのおどろおどろしい価値を認識しはじめたからである。

人間の極限状態と不条理が続くと、平和な時期に冷静に判断できていた事柄を忘れ、許容できる範囲がどんどんずぶずぶと閾値が広がっていってしまう怖さ。普通が普通でないとき、その普通は異常すらも普通とみなしてしまう。なし崩し的に人間性の破壊を招く、それも悪の凡庸さとして。

クリスのおぼっちゃま加減が上手く現代の私たちのぬるさと同期できるような立ち位置になっている。けれども海の向こうはバーンズのような世界なのだ。“おれが現実だ”の台詞に痺れた。
サリンジャーがPTSDに悩まされていたように、苛烈な経験をしたものはそれらを背負って生きてゆくしかないのだろう。
戦争映画として、いまの時代、いまの平和を再認識できる意義深い作品。名作です。
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