GT

プラトーンのGTのネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

 ベトナム戦争を描いた作品の中ではおそらく最も有名な部類に入る映画。中学の頃よく見てた映画で、十何年ぶりに再鑑賞。
 愛国心に突き動かされた志願兵であるクリス。が、本物の戦場は、彼が思っているよりも遥かに過酷だった…。実際に戦争に行った事があるわけではないので(当たり前だけど)断定することはできないが、描写の生々しさは相当な物だ。真夜中の見張りでは雨の中地面にうつ伏せになって泥まみれになりながら寝るという過酷さ。敵兵はいつある現れるのかも分からず、数秒後には自分は死体になっているかもしれないという恐怖。極限の状態に陥った部隊は暴走し、現地の村を略奪し住民を虐殺するという暴挙を働く。この映画の良心とも言えるエリアスの頼もしさは半端ないが、その彼も中盤あたりでバーンズの謀略にかかって死んでしまう。
 この映画の悪役は明らかにバーンズなのだが、久しぶりに本作を見てみると、バーンズも様々な苦難を味わい尽くしてこうなってしまった、というのが感じられるような気がしてくるから驚いた。吹き替えで見ていたから今まで気づかなかったが、彼の出す声はどこか虚無的というか無気力な印象があり、心の中では全てにうんざりしていたのかもしれない。それを証明するのがラストシーンだ。爆撃を受け瀕死のバーンズに対し、尊敬するエリアスを殺されたクリスは彼を殺そうとする。衛生兵を呼ぶようよう要請するバーンズだが、彼の意図を読み取った彼は一言、「やれ」。クリスはバーンズを撃ち殺す。「弦楽のためのアダージョ」が流れる中、兵士の死体をブルドーザーで処理する光景は虚無意外の何者でもない。クリスは「ぼくは自分をバーンズとエリアスの子供である気すらする」と最後に述べる。戦争という状況においては、誰もがバーンズのようになる可能性があり、クリスもそれに片足を突っ込んでいたのだ。実際に彼は、味方を殺したという点において、バーンズと同じ轍を踏んでしまったことになるのだから。
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