Nana

プラトーンのNanaのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
4.0
オリバーストーン監督の実体験を元にしたベトナム戦争のリアルな戦場を描いた戦争映画。
イメージ的にウィレム・デフォーが例のポーズが最後と思ってたけど、意外とそこから先がヤマだった。
悲壮なクラシック音楽を時々挟む事で、戦地の現状と気持ちとの距離が作られる。
単なる銃を撃ち合って皆殺し!な作品でもなければ、愛する人に別れを告げて涙の映画ではない戦争映画。

テーマは合衆国のプロパガンダと現実の違いなのか。
人間の中にある善と悪の戦いなのか。
宗教的な罪と罰なのか。
特別な体験をした戦士の心理はどう変わるのか。
戦争映画は苦手だけど、いろいろ考えてしまう作品でした。

ストーリーは若き兵士テイラーが、親への反発心から志願して戦地に到着するシーンから始まる。
チャーリーシーンの若いこと!
若い時のジョニーデップも出てるけど、2人とも爽やか好青年。

初めのうちはジャングルでアリの群れに噛まれたり、熱中症?で倒れていた若者が、だんだん戦地に慣れて逞しくなっていくテイラー。
彼が精神的に父としてリスペクトしたのは2人。
1人は戦いでアドレナリンが増し、非武装のベトナム銃をも平気で殺す不死身のバーンズ。
もう1人は心優しく俊敏でジャンキーなエリアス。
名前だけの小隊長は役に立たない。
戦場が激しさを極める中、バーンズとエリアスの間にトラブルが発生する…

実際に戦争に行った訳じゃないけど、素朴に疑問を感じていたことに答えてもらえたようで、リアルさを感じました。

「ジャングルに虫はいないの?」
「プレッシャーにはどうやって耐えたの?」
「敵と味方が入り乱れる中、間違えて?味方を撃つことはないの?」

リハーサルして行くわけじゃないし、現地の状況次第で人間だからいろいろ過ちを犯すし、合衆国的に認めたく無いところがいろいろあるんだろうな。

あえてマーティンシーンの息子を使ったところが、既成の戦争映画に対するオリバーストーンの反撥かもしれないと思いました。

「戦争に行くのは、名前も知らないような田舎の出身で学がないような若者ばかり。彼等が本当のアメリカ人の姿なのだ。」

「我々は死を待つしかないのか。正しきものが殺され、悪いヤツが生き残る世の中で」
Nana

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