ヘラルドスクエア

川の底からこんにちはのヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)
2.5
うっすらと気持ちをを動かされました。

満島ひかりさんは、クズ男と、なぜかそのタイミングで結婚を決心したりと、分かるようで分からない展開が続きます。
石井裕也監督は、アンビバレントなストーリーの先にある、市井の人々の存在意義のようなものを、非常にぼんやりとした形で示そうとしているように思います。
劇中では市井の人々を「中の下」と表現していましたが。
見る者を、決して分かったような気にさせない、煙に巻いた作りが、この映画の面白さだと感じました。
念のため2回鑑賞しましたが、やはりすっきりしなくて…、まぁそこが味なのかなと。

ただ、石井監督はオフビートのコメディはあまり上手ではないようで、
脚本を含め台詞回しや演出は、チャレンジは分かるものの、過度に芝居ががっていて、いまいちスマートさに欠けています。
あえて不自然にしたであろう間の取り方も、笑いやペーソスを誘うというより、単にテンポの違和感が強く、素直に物語に没入できません。
いっそのこと、斜に構えたコメディにはせず、開き直って得意のシリアスでもよかったのでは…。
登場人物も”開き直る”ことの大切さを劇中で何度か強調して述べているように。