アンリ・ドカエ撮影
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メルヴィル監督2作目
パトリシア・ゴッジを追って…
第二次世界大戦下のフランス…イタリア軍に占領され、ドイツ軍によるユダヤ人強制収容も始まります…。
通信教育の学校で働きながら娘(パトリシア・ゴッジ)を育てる未亡人バルニー(エマニュエル・リヴァ)は迫害を免れる為、ユダヤ人の血を引く娘に教会で洗礼を受けさせることに…そこでひとりの神父と出会います…。
深い精神世界を持ったモラン神父(ジャン=ポール・ベルモンド)…気高く意志の強い無神論者のバルニー…決して結ばれることのない禁欲的ラブ・ストーリーです。
モラン神父とバルニーの対話による告解や問答がメイン…ただ決して宗教をテーマにしたものではありません…あくまで…"ふたりの愛の物語"…。
キリスト教に懐疑的なバルニーは、教会の外に救いはないのかと尋ねます…すると神父は…
« C’est l’église invisible. Il dépasse de loin celui qui est visible. C’est… L’humanité de la bonne volonté. »
目に見えぬ教会こそが大切なのです。つまり…人間の善意…。
不安な時にいつも気にかけてくれる神父の存在にバルニーは気持ちを寄せていきます…普通なら恋愛に発展するはずが…神父の愛は彼女に向いていても…それは男女の愛ではなく…"神の愛"…。
薪割りのシーンは男らしくギャップ萌え…でもちょっと怖いっს
モランの何気ない仕草や行動に惑わされてしまう、バルニーの女心が切なくて悲しいです…。
また、当時として珍しいと思われるレズビアン描写… バルニーは神父と出会う前、職場の女上司サビーヌに恋愛にも似た感情を抱いていました…女性ばかりの彼女の職場の映像も新鮮で素敵です…。
そしてやっぱりドカエの映像が魅せます…。
バルニーが建物の2階にある神父の部屋へ行く為に、階段を登るシーン…何度となく映し出されるシーン…しかしワンシーン、ワンシーンがバルニーの心情によって微妙に異なり、どれも印象的…。
神父の部屋の端正さ、光が作り出す影、人物配置…鏡とガラス…映像による心情表現も見事です…。
キャストではバルニーを演じたエマニュエル・リヴァの清潔感のある凜とした美しさ…繊細な演技も素晴らしい…。初めましてと思ったら…ハネケ監督『愛、アムール』のお婆さん…やはり品格を感じる美しさです。
それから今作の目的でもあるパトリシア・ゴッジ…無条件で可愛い…『ミツバチのささやき』のアナちゃん、『ポネット』のポネットちゃん…3人はちょうど5・6歳で同い年…其々がその役にピッタリでtrios jolies filles(3人のかわい子ちゃん)…み〰︎んな可愛いෆ*
そして…報われない愛の結末は…。
〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜
モラン神父がバルニーに別れを告げます…っს
« Nous nous reverrons. Dans l’autre monde. Pas celui-ci. »
また会える…この地上ではなく来世で…。
バルニーのとても美しい涙に胸が苦しいです…。
thanks to; HKさ〰︎ん ⑅࿐𓏸ꨄ