Myke

マグノリアの花たち/スティール・マグノリアのMykeのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ー友人と家族

今のコロナ禍においても、
いざというときに、真っ先に助けてくれ、
嬉しい時は、一緒に喜んでくれる。
その存在の大きさと大切さを、改めて感じる。

この映画は、
家族愛と友情の花開く、かけがえのない物語。

:

糖尿病を患い、医師からは
「身の安全のため子供を産んではいけない」
と告げられていたシェルビーだったが、
愛する夫との間に自分の子供を授かることを強く望み、
妊娠をする。

ワクワクしながら、そのことを母に告げる。
しかし、母の反応は、
怒りと、娘の体の心配をする言葉だけだった。

母は心から喜んでくれると思っていたシェルビーは、
ショックのあまり、
「妬いているの?私のする事にいちいち指図できないから?
人を思い通りに動かしたいのね。」と言ってしまう。

母親はそれを聞いた途端、悲しい顔をして
「ただ娘が幸せになってくれることが、私の願い。」と言うと
「私の幸せは子供を産む事なの。」と反論。

私は高校の時、母親に対しての反抗期がひどく、このように、
憎まれ口を叩いてしまったシェルビーの気持ちがよくわかる。

だが、母親はどこまでも自分の娘の幸せだけを
一番に考えてくれていることが、
大人になるにつれて心からわかってくる。

娘のことが心配で、本当に愛しているからこそ、
認められなかったのだと。

このシーンは、私の過去と重なり、
もどかしさと幸せで、涙なしには見れなかった。

:

シェルビーは無事に出産。
しかし、出産のため、腎臓機能が低下し、
腎臓移植を受けなければならなくなった。
なんと腎臓は、母親が提供してくれたのだった。

手術は成功。
幸せな日々が訪れますが、

シェルビーは再び発作を起こす。

:

「長い人生より、充実した30分の人生を。」
と言っていたシェルビー。

かけがえのない息子を命懸けで出産し、命懸けで育てた。

そして、自分の命を捧げた。


息子が将来、物心ついた大人になる頃には
母親のことを聞き、
悲しくて涙を流すこともあるかもしれない。

でも、母親という偉大さを知り、
母親に見守られての感謝の気持ちでいっぱいの人生となるだろう。

子供にとって母親とは、世界一の存在である。

:

映画のタイトルの“マグノリア”とは、
アメリカ南部を象徴する花のことで、
この映画の原題は、
Steel Magnolias “鉄のマグノリア”という。

同じ花でも咲く時期や大きさが異なり、
一つ一つに個性が溢れる。
雨が降っても風が吹いても、上を向いて咲き薫り
周りを華やかにしてくれるが、ただ美しいだけじゃない。
“鉄のように強い南部の女性”という意味が込められているのだ。

映画が始まり、まず目についたのが、
大自然の緑色の街並みに、色とりどりの自転車、
ピンクの花々にピンク色の柱、青色の車。

レトロな映像美に映し出される色彩は、どれも華やかで
使用されるBGMも、今の映画とは少し違うテイストで
それがまたオシャレに映画を彩ってくれる。

登場する女性達はファッショナブル。
溜まり場の美容院では、世代超えた女性達が、
綺麗にオシャレをして他愛無いおしゃべりをする。

それとは対照的に、
銃で鳥を退治したり、息子と一緒になって
武器を片手にはしゃぐ旦那。
母親に悪戯ばかりする、やんちゃな息子達。

いわゆる男性と女性に対する
象徴的で対照的なイメージが共存していたが、

美容院の店長トルーヴィーはカッコ良い車にだって乗るし、
仕事がない旦那をよそに、自分のお店を持っている。

町長のクレリーと、偏屈なウィザーは
未亡人であるが、それぞれ自立している。

男だからこう、女だから“こうであれ”という
“押し付け”はそこにはなかった。


世界でも、男尊女卑の考え方は未だ根強い。

だが、一つ言えることは
女性はか弱くなんかない。

命をかけた壮絶な出産を経て、この世へ、
かけがえのない生命を送り出しているのは女性だ。
今こうきて生きることができているのは、
全て母親のおかげなのだ。

:

◯印象に残ったお芝居①
結婚式当日、
美容室でシルビアの糖尿病の発作が起きるシーン。
自分の子供は授かれないという現実にうちのめされ、
虚な目で自らを追い込んでいくように全身が崩れていく。
それに相まって糖尿病の発作が起きる。
心身ともに辛い状況なんだろうなと悲しくなった。

◯印象に残ったお芝居②
・旦那や兄達の男組は堪えきれずに病室を出てしまうが、
母親は毎日毎日、昏睡状態の娘に話しかけ、
最期まで一人で見守った。
そして病院では決して涙を見せなかったのに、
車を一人で運転している時に、はじめて涙を流す。
・葬儀の後の母の背中は、
悲しみと、どこか怒りをおびているように見えた。
参列してくれた友人達が心配して近寄ると
「私は、娘が生まれ、死ぬ時も見届けられた幸せな母親よ。」
と言っていたが、いきなり
「なんでこんな目に遭うの!あの子の息子は、
素晴らしい母親を知らずに育つのよ!
母親がどんな犠牲を払ったか...
神様どうして!!!」と突然怒り狂う。
いつもは気丈で強い母だが、
一人の人間としてのありのままの想いが刺さって
皆も私も泣かずにはいられなかった。

※母親役のサリーフィールドはフォレスト・ガンプの母親役!!
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