かめの

不惑のアダージョのかめののレビュー・感想・評価

不惑のアダージョ(2009年製作の映画)
4.0

何故か最近、近くのTSUTAYAに入ったので、ようやく観ることが出来た。

説明なく、静かに展開されていくので、この作品を理解、共感できる層はかなり限定されると思うが、国内外問わず、女性にとって普遍的問題を扱った作品だった。

主人公はシスターとして恋愛と無縁の生活を送るうちに、自分が閉経し、更年期にいたる年齢であることについて不安を感じるようになる。彼女はきっと結婚したい、恋人や子供が欲しいと強く思う前に、自分が女性として出産という選択をしなかったことに対する悲しみ、罪悪感に近い不思議な感情にとらわれていたのではないだろうか。赤飯で子供を生むことが出来る証を祝われ、誰もが当たり前のように結婚し、子供を産むと考えられていた価値観のなかで、どうして罪悪感を持たずにいられる?(いささか感情移入しすぎかな?)しかし、それが無理やり行為に及んだ男に対する発言に繋がっていったように思う。

トークショーでバレエダンサーを演じられていた西島さんが「不惑の年齢に近づいて、したいことややりたいことが増えた」と話されていたが、皮肉なことにこの作品が伝えたいことは真逆で、諦めなければならないことに対する無力さ、悲しみを受け入れていく姿が描かれていた。あまり考えたくはないが、これが男女の差だろうかと痛感させられる。
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