ルサチマ

虎鮫島脱獄のルサチマのレビュー・感想・評価

虎鮫島脱獄(1936年製作の映画)
5.0
フォードを語る上で欠かせない作品だと思う。見終えてもなお、把握し切れない濃密なドラマだ。冒頭、南北戦争直後の北部でリンカーンが奏でるよう命令する「ディキシー」の存在にまず驚愕。寛容と不寛容のせめぎ合うアメリカの孤島に設計された装置=監獄が気になる。そしてこれも『ドクター・ブル』の流れの中で、『太陽は光り輝く』へ至るまでの集団に対する個の抵抗のひとつの肯定的な解答だろうと思うが、今作の後に取り換え不可能な1人の女の死という過程を要した『太陽は光り輝く』は、より陰惨な場としてアメリカの隔離されてないどころか中間地帯に属するケンタッキー州を浮かびあげている気もする。
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