上中下巻とある大長編小説を読み終えたような、徒労感と鑑賞したことの達成や充実が見たあとに残った。確かに警察内部の犯罪とその告発というテーマの割に地味だし長いし多数の登場人物が出て来て戸惑うが、それに見合う面白さはある。
中途半端な正義と人間的感情を持っていたがゆえに覆面調査の犬となり、味方であったはずの不良警官仲間たちから疎まれるゆく主人公の姿はひたすら悲痛。いっそのこと悪党として開き直って生きていた方がどんなに楽だったかと思う。そんなヒーローにもなれず、悪人にもなれなかった警官の主人公をトリート・ウィリアムズが熱演。言い方は悪いが彼のいかにもB級映画の主役のような顔立ちが、主人公の生きざまにぴったり。
主人公ダニエルが仲間を売った警察の犬扱いされたまま生涯を終えるのだろうことを示唆するラストが苦くて切ない。